現代社会において、悪臭は周囲に不快感を与えるだけでなく、ストレスの原因にもなりかねません。特に、汗臭さや加齢臭などの体臭は、自分に自信をなくすことにもつながります。
そこで注目されているのが、繊維に触れた悪臭を効果的に分解除去する「消臭繊維」です。従来の消臭加工とは異なり、繊維そのものに消臭機能を持たせることで、洗濯しても効果が長続きするのが特徴です。
本記事では、消臭繊維の仕組みから、消臭繊維「CLEANMELL®」のご紹介、そして様々な製品への活用例まで、詳しく解説していきます。
消臭繊維とは、その名の通り「消臭機能を持つ繊維」のこと。しかし、一口に消臭繊維と言っても、その仕組みは様々です。ここでは、消臭の基礎知識をはじめ、消臭加工と原糸加工(消臭繊維)の違いについて解説していきます。
「良い香りを付ければニオイは気にならない」と思っていませんか? 実は、悪臭対策として「芳香」はあまり効果的ではありません。悪臭の元となる物質が残ったままでは、芳香剤の香りが消えた後に再び嫌なニオイが発生してしまうからです。
そこで重要になるのが、「消臭」という考え方です。消臭とは、悪臭の元となる物質を化学的に中和したり分解したりすることで、ニオイそのものをなくしてしまう、または感知しない物質に変化させる方法です。
一方、「防臭」は、あらかじめニオイが発生することを防ぐ方法を指します。発生してしまったニオイを消すことはできません。また、「脱臭」は、すでに発生しているニオイを取り除く方法ですが、その効果は一時的なものにとどまります。
消臭は、ニオイの元から断つことで、根本的な解決を目指せる方法と言えるでしょう。
消臭機能を付与する方法には、大きく分類すると「消臭加工」と「原糸加工(消臭繊維)」の2つがあります。
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繊維製品や繊維の表面に消臭剤を付着させる方法が一般的です。洗濯を繰り返すと消臭加工剤が脱落し、効果が薄れてしまう場合があります。
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繊維そのものに消臭機能を持たせたものが「消臭繊維」です。繊維構造に、消臭効果のある物質を練り込んだり、化学結合させたりすることで、洗濯しても効果が長持ちするのが特徴です。
消臭繊維における主な消臭方法は、以下の2種類です。
それぞれの特性を活かし、複合型になっている場合もあります。
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微多孔質物質に臭気成分を物理的に吸着させることで消臭する方法です。悪臭そのものに変化はなく、吸着できる臭気量に限りがあるため、飽和すると消臭効果が弱くなったり、再放出したりすることがあります。
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繊維構造に臭気成分と化学反応を起こす機能をもたせて消臭する方法です。具体的には、特定の官能基や触媒と悪臭物質が反応することで、無臭の物質に変化させます。臭気の再放出がなく、洗濯しても効果が長持ちするというメリットがあります。
今回ご紹介する「CLEANMELL®」は、繊維そのものに消臭機能をもたせた「消臭繊維」です。化学反応によって特定の悪臭物質のみを無臭化するため、汗や体臭などの嫌なニオイだけを消し、柔軟剤などの良い香りはそのまま残します。この「セレクト消臭」効果で、ライフスタイルに合わせた快適な着心地や使用感を提供します。
数ある消臭繊維の中でも、CLEANMELL®はグラフト重合法により、消臭官能基に特定臭気である悪臭を吸着させ化学的に無臭化させるもので、耐久性や持続性に優れています。さらに、独自技術により「グラフト鎖」と「消臭官能基」の消臭成分を多く結合し、吸着量を大きくすることで、スピード消臭を実現しました。
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結合している消臭官能基が多く、接触効率が高いため、短時間での消臭に効果的です。不快なニオイを感じる前に、スピード消臭することができます。
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消臭機能が分子構造レベルで結合しているので、洗濯による消臭機能の低下は極めて少なく、耐久性に優れています。
洗濯50回後でも消臭効果が変わらない(原糸)試験結果があり、長期間にわたり効果が持続します。
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結合している消臭官能基が多いため消臭の吸着容量が大きく、多量の臭気を一気に無臭化します。
CEANMELL®の消臭メカニズム
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化学的な吸着により悪臭物質を再放出しないため、周囲に不快な臭いを拡散することがありません。
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消臭剤の付着や浸透ではなく、繊維の分子レベルで化学結合した消臭機能のため、消臭剤の脱落や流出がなく安心してご使用いただけます。
CLEANMELL®は、日常生活で発生する様々な悪臭に対して効果を発揮します。
アンモニア臭とは、汗や尿などに含まれる成分が分解される際に発生する、ツンと鼻をつく刺激臭のことです。ペットとの生活や、介護現場においては発生源が多く、不快に感じやすい臭いといえます。
用途例:介護医療用品・シーツ・ペット用品・インナー
酢酸は、汗や皮脂が酸化分解される過程で発生する酸っぱい臭いです。運動後の衣類や、長時間着用した靴下などに発生しやすくなります。
用途例:スポーツウェア・ユニフォーム・インナー・靴下
イソ吉草酸は、足の汗に含まれる成分が、皮膚の常在菌によって分解される際に発生する臭いです。靴の中や、足の裏に強く発生しやすく、いわゆる「足臭さ」の原因となります。
用途例:靴下・インソール
ノネナールは、皮脂に含まれるパルミトレイン酸が酸化分解される際に発生する臭いです。40代頃から増加し始め、いわゆる「加齢臭」の原因物質の一つとして知られています。特に上半身に発生し、枕やワイシャツの襟元に臭いが残りやすくなります。
用途例:寝装具・ワイシャツ・インナー
減少率(%)
濃度 | 30分後 | 120分後 | |
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アンモニア | 100 ppm | 99% | 99%以上 |
酢酸 | 30 ppm | 94% | 95% |
イソ吉草酸 | 約 38 ppm | 97% | 99% |
ノネナール | 約 14 ppm | 94% | 94% |
[アンモニア・酢酸・イソ吉草酸・ノネナール消臭試験]
【消臭性試験方法】
(一社)繊維評価技術協議会 SEKマーク繊維製品認証基準 準用21.消臭試験(検知管法、ガスクロマトグラフ法)
【試験材料】
検知管法:200㎠ ガスクロマトグラフ法:100㎠
【測定時間】
検知管法・ガスクロマトグラフ法 30分、120分
資料に精製水0.15ml滴下して湿らせた状態で試験実施
CLEANMELL®は、幅広い製品ラインナップを展開しており、日常生活での様々なシーンでの製品にご活用頂けます。
ここでは、展開製品の特徴とその活用例をご紹介します。
不織布
スレーキ
ダブルラッセル
メッシュ
テープ
【特長】化学的に結合させた消臭機能糸で作られた消臭テープです。第三者機関によるアンモニア・酢酸・イソ吉草酸消臭試験にて効果を発揮しました。
帽子やインナーへの部分使いにおすすめです。
製品ラインナップ
受注生産品
下記テープは受注生産となります。
ご要望があればお問い合わせください。
いかがでしたか?消臭効果に持続性や即効性を求める場合は、消臭加工ではなく繊維そのものに消臭機能を持たせた素材が最適です。
CLEANMELL®は、分子レベルで繊維に消臭機能を結合し、化学的に悪臭のみを無臭化させる消臭繊維です。即効性、耐洗濯性、持続性を兼ね備えた高機能素材として多様な用途に対応できるよう、原糸(ナイロン糸、綿糸)をはじめ、生地(ダブルラッセル・不織布)、テープ等、製品バリエーションを取り揃えています。
日常生活の様々なシーンで、悪臭の悩みを解決するために、CLEANMELL®をぜひご検討ください。